樹木は年々葉を大きく広げ、高く高く成長していきます。
日本には屋久杉のように1,000年以上生き続けているものもあります。
世界的には1万年以上になるものも有ります。
樹木にはご承知のように年輪があり、1年1年、年輪を重ねています。
多くの方は樹木は、全体が生きていると考えているかと思いますが、樹皮の下にある形成層
という組織だけが生きていて、根から葉まで繋がっています。
中の組織は、外に細胞分裂した後、葉や根とのつながりが無くなって死んでいきます。
ですから樹皮を傷つけるとそこから腐朽菌が入って、中を腐らせてしまいます。
動物の場合は、皮膚が傷つけられるとばい菌を殺そうと免疫細胞が活躍し、皮膚も再生して
いきます。
樹木は外側だけが生きていて、中身は植物遺体なので、そんな機能はありません。
植物は1年で枯れて、種等からの再生を繰り返して来ました。
その中で自分の外側に細胞分裂して再生することで大きくなろうとしたのが樹木です。
ロシアのマトリョーシカのようなものと考えてください。
外側に細胞分裂して、元の細胞は死んでいきます。
年々、元の細胞を包み込むように大きく、高く成長していきます。
千年以上生きている樹木でも、実は中身は植物遺体でその廻りに1年生の植物が生きている。
樹木の年齢は年輪の数で数えますが、実質的には1年生の生物体とも言えます。
ただし、柔細胞といって養分を蓄える組織があり、これは数年生きると言われています。
木を切ると真ん中が赤く、その廻りが白くなっています。
この養分を蓄える細胞が死ぬときに腐朽しにくくする赤い成分を出すので赤くなります。
赤いところを心材、廻りの白いところを辺材といっています。
心材には生きている細胞は皆無、辺材には数年生きる細胞がわずかに存在しています。
樹木医として、木を見るとき、この視点が重要になってきます。
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