旧民法における養親の去家と親族関係

フェースブックで面白い記事を見つけました。

忘備録として記載します。

こんな事例には出くわしたくないものです。

旧民法第730条2項「養親が養家を去りたるときは其者及び其実方の血族と養子

との親族関係は之に因りて止む」との定めがあります。

最高裁平成21年12月4日第2小法廷判決・破棄自判判例タイムズ 1317-128】

Xは故A女の養子であると主張して、A女の実子であるYに対し、A女がその遺産の

多くをYに相続させる内容の公正証書遺言をしたことにより、遺留分を侵害されたと

して、価額弁償を求めた。

 事情は以下の通りである。

①A女は大正6年9月17日、B男との間で同人を養親とする養子縁組をして、同人

が戸主であるB家に入り、大正8年6月11日同人の死亡によりその家督を相続した。

②Xは、昭和14年8月30日、実姉であるA女との間で、同人を養親とする養子縁

組をした。

③A女は、同年11月2日、隠居した上、同月29日、C男と婚姻してB家を去った。

④A女は、平成10年11月17日、長男であるYにその遺産の多くを相続させる内

容の公正証書遺言をした。

⑤A女は、平成15年5月24日死亡した。

⑥Xは、平成16年5月13日、Yに対し、遺留分減殺の意思表示をした。

 Xの請求は、認められるか?

【解答】 認められない。

(理由)

 最高裁は、以下のように述べ、XがAの養子であるとする前提自体を否定し、Xの

主張を退けた。

「昭和22年法律第222号による改正前の民法730条2項は、「養親カ養家ヲ去

リタルトキハ其者・・・・ト養子トノ親族関係ハ之ニ因リテ止ム」と定めるところ、

養親自身が婚姻又は養子縁組によってその家に入った者である場合に、その養親が養

家を去ったときは、この規定の定める場合に該当すると解すべきである(最高裁昭和

42年(オ)第203号同43年7月16日第三小法廷判決・裁判集民事91号721

頁参照)。前記事実関係によれば、A女は、B男との養子縁組によりB家に入った者

であって、被上告人Xと養子縁組をした後、C男と婚姻してB家を去ったというので

あり、B女の去家により、同項に基づき、B女と被上告人Xとの養親子関係は消滅し

たものというべきである。」

行政書士 阿部 竜三 事務所 0858-33-5503

鳥取県倉吉市の行政書士事務所です。 相続、遺言、成年後見、各種申請のお手伝いをさせていただきます。

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